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68日目:こだわりを押し付ける音楽は嫌だ
バンドをやるということは、コピバンであれ、オリジナルバンドであれ、音楽を聴いたり、観る側から「表現する側」へと変わるものだと思う。
そうですね。 その立場になることでいろいろなことに気づいたりしますよね。
「表現する」ということは聴いている人に「何かを伝える」こと。 それはバンドマンにとってのやりがいであることは間違いないのだけれど、そればっかりが独り歩きしてしまいがち。 今回はそんな話をしたいと思う。
こだわりは加熱するもの
バンドマンたるもの、自分の音楽にはこだわりがあるものだし、それ自体はアイデンティティとしても必要なものだと思う。 だけど、そのこだわりが深くなればなるほど、周りを巻き込んだり、執着したり、柔軟になれないということが起こりうる。 特に自分で曲を作ったり、アレンジをしたりすると、「俺の曲は最高!」「このアレンジは見事だ」と自己陶酔、ナルシズムに陥りやすい。
冷静な自己分析が出来ないと成長が鈍る
そのようにこだわりが過熱してしまった状態では、他人の意見を取り入れなくなるし、過剰な自信を持ってしまい、冷静な自己分析が難しくなってしまう。 そうなると、自分の欠点を発見したり、指摘されたとしても、素直に受け入れることが出来なくなり、自分の成長を鈍化させてしまうよ。
確かに自分が自信持っている分野について他の人に何かを言われると、「そんなことない」って反発してしまいがちですよね。 私も好きな曲をカラオケを歌っていて、勝手にハモられると良い気分はしないです。。
それはちょっと違う気もする・・・(笑)
音楽はエンターテイメントということを忘れずに
オリジナルバンドにありがちなこと。 自分(達)が作った曲はかわいい。いわゆる親バカになるもの。 そして、それをライブや動画で公開するなら、その曲のことがしっかりと伝わってほしい。 それが「音楽はエンターテイメントである」という本質を蔑ろにしてしまう。
ケース1:ネタバレ
よくライブで曲をやる前に曲紹介をやるよね。 動画の曲紹介でも良い。 そこで「この曲は○○で△△な状況で、□□の心情を歌った歌なんですよ」というような詳細な紹介をしてしまう。
いわゆる”ネタバレ”ですね。
曲を聴く前にリスナーは答えを知ってしまうから、そのシーンであることの答え合わせになってしまう。 もちろんそういう楽しみ方が好きな人もいる。 だけど、曲を聴きながらその曲がどういうストーリーで世界観なのかを想像することが楽しみのリスナーだっている。 そんなリスナーの楽しみを奪ってしまうのはいかがなものだろう。
例えば、映画を見る時に予告編を見て、内容をイメージしながら本編を見るなら楽しいけど、観る前にネタバレなんかされたら見る気を無くすよ。 それと同じことで、「次の曲はノリのいい曲です!」とかそういった簡潔な紹介にして、実際の演奏で勝負するようにしたい。
ケース2:聴きどころを詳しく指示
他のケースとしては、「この曲のこの部分のギターとベースの絡みに注目して聴いてくださいね!」とか聴きどころを細かく指示するような場合。 リスナーからしたら、その曲のどこをどのように聴くかは自由だし、気に入るポイントも人によって違う。 だから、演奏側が「ここを聴いてくれ!」と言われても正直「知るか」という感じだね。
自分たちのこだわりを表現できるクオリティがあるなら、何も言わなくてもリスナーは「お、ここの展開は良いね」と感じ取るもの。
自分たちのこだわりを伝えられるように表現力や技術、構成力を磨くのが大切ということですね。
他者に評価されてこその「こだわり」
そもそもこだわりというのは、他の人が評価してこそ、こだわりとしての価値が生まれる。 自分たちだけで完結しているのでは「こだわり」ではなく「自己満足」だね。 そんな自己満足を押し付けられるような音楽は正直、聴きたいとは思わないよね。
自己満足で終わらないためには、自己分析を繰り返し、自分たちの能力を伸ばし、客観的に見て魅力的に映るのかを考え続ける必要がある。 そして、謙虚で素直な姿勢がとても大切だね。 他の人が認めてくれるなら、そのこだわりは間違っていないということだから、その密度や深度を高めていけば良い。
◆まとめ
今回の講座『こだわりを押し付ける音楽は嫌だ』
- こだわりはバンドマンにとって必要なものではあるが、それに執着したり、頑固になったりと、独り歩きになってしまい、バンドマンとしての成長を鈍化させることもある。
- 自分たちのこだわりを伝えようとして、「音楽はエンターテイメントである」ということを蔑ろにしてしまうことがある。例でいえばネタバレや、「ここを聴いてください」という指示。
- こだわりというのは、他の人が評価してこそ、価値がある。そうでなければただの自己満足。自己分析を繰り返し、能力を磨いてこだわりを価値あるものにしていこう。