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音作り編14日目:ファズ・ディストーション・オーバードライブの歪み系エフェクターの違いとは?
今回は前回に引き続き、歪み系エフェクターについて取り上げたいと思います。
歪み系エフェクターと言えば、ファズ(FUZZ)・ディストーション(Distortion)・オーバードライブ(OverDrive)の御三家の名前が挙がります。
同じ歪み系エフェクターとしてそれぞれの差異について考察していきたいと思います。
共通しているのは「音を破壊する」こと
前回にも触れましたが、歪み系エフェクターというのはギターからの入力信号を増幅させて、回路の通過限界値を越えさせる・・・つまりは音を破壊することで歪ませています。
この仕組み自体は、ファズ・ディストーション・オーバードライブのいずれも共通しています。
このような歪み系エフェクターが普及したのは1960年代後半であり、それまではエフェクターといえば音を美しく響かせたり、音量を調整するように、音自体を整えることを目的としたものだったらしいです。
そこで敢えて音を壊すエフェクターが登場したというのは当時は大きな驚きだったのではないでしょうか。
言葉の意味から考えてみると
それぞれの言葉の意味を見てみましょう。
FUZZというのは「毛羽立たせる」、「刺激」という意味でありこれが由来ではないかと言われているようです。
Distortionは文字通り「歪ませる」、OverDriveは「酷使する」「加熱状態」という意味になります。
実際の歪み具合は【ファズ > ディストーション > オーバードライブ】という順番ですが、言葉の意味的は真逆の印象を受けるというのが率直な思いです。
実はあいまいな違いしかない?
実はファズもディストーションもオーバードライブも歪ませる原理は一緒であり、具体的な違いというのはありません。
歪み系エフェクターが普及し、期間が経過していく中で体系的に区別されただけであるとも言えます。
メーカーによっては、回路構造が異なるというケースもありますが、あくまで歪み具合をメーカーの匙加減で分けたのが、ファズ・ディストーション・オーバードライブという違いになっているようです。
そのため、ディストーションと言いつつ、オーバードライブ的な歪みであったり、ファズ的な歪みというエフェクターも存在します。
傾向から見るそれぞれの特徴・違い
とはいえ、それぞれのメーカーがファズ・ディストーション・オーバードライブと区別してエフェクターを製作しているのも事実であり、共通した傾向があります。
それに沿って、それぞれのエフェクトの特徴や違いを紹介します。
FUZZ(ファズ)
ファズというのは音の芯が無くなるほど非常に強く歪ませるエフェクターであり、ピッキングニュアンスや和音などはほぼ反映されないと言っても良いほどです。
一方で、レベルが一定に保たれるため、ロングトーンを得ることが可能です。
主な使い道としては、ギターソロが向いています。
Distortion(ディストーション)
ディストーションは、しっかりと歪ませながらも、ファズよりは原音を配慮した回路構造となっているため、ピッキングニュアンスや和音なども聴き取ることは可能なくらいの歪みのものが多いです。
ほぼすべての音が倍音になるファズと違い、偶数倍音が奇数倍音よりも強調されることで、やや柔らかい音色となる傾向にあります。
主な使い道としては、ギターソロやミュート、バッキングなどファズよりかは使い道が広いと思います。
OverDrive(オーバードライブ)
オーバードライブは、アンプの歪みのツマミを上げたような、自然でマイルドな歪みが特徴です。
ピッキングニュアンスや和音に加え、アルペジオなども聴き取れるようなタイプのものが多いので、非常に使いやすいエフェクターとも言えます。
ギターの様々なプレイに対応する他、エレクトリック・ピアノなどにも利用されます。
まとめ
それぞれの違いを分かりやすく表にまとめてみました。
◎、〇、△、×という表記で記載していますが、これは別に◎だから良くて×だからダメという話ではなく、あくまで機能的な特徴を示しています。
FZ | DS | OD | |
---|---|---|---|
歪み量 | ◎ | ○ | △ |
音の伸び | ◎ | ○ | △ |
ピッキングニュアンス | × | △ | ○ |
和音 | × | △ | ○ |
アルペジオ | × | × | ○ |
音の芯 | × | △ | ○ |
ノイズリスク | 最高 | 高 | 中 |
状況にあったエフェクターを選ぼう
今回、ファズ・ディストーション・オーバードライブのそれぞれの特徴について紹介しましたが、その中でどれが良いかは楽曲やプレイスタイル、ギタリストの好み、またはギターなどの機材・環境によって異なります。
確かな正解はありませんので、それぞれの違いや特性を意識して、その状況にあったエフェクターを選ぶことが大切です。
とはいえ、歪みが強ければ強いほど音の芯が無くなり、音ヌケが悪くなる、さらにノイジーになるという懸念はありますので、リスナー側にどのように聴こえるかを考慮することを忘れないようにすることも大きなポイントです。
この講座のポイントはココ!
歪みエフェクターには主にファズ(FUZZ)・ディストーション(Distortion)・オーバードライブ(OverDrive)の3種類がある。
それぞれに明確な違いがあるわけではなく、歪み量に応じて体系的に区別されている。
歪み具合は【ファズ > ディストーション > オーバードライブ】という順番になる。
歪みの量が増えるとロングトーンを得ることが出来る一方で、ピッキングニュアンスなどの繊細さは失われる。
ファズ(FUZZ)・ディストーション(Distortion)・オーバードライブ(OverDrive)のどれがよいかは、楽曲やプレイスタイル、好みによって異なる。
それぞれの違いを意識して、状況にあったエフェクターを選ぼう。